IoTがもたらす「第4次産業革命」
IoT(Internet of Things)とは、身の回りにあるモノにセンサーが組み込まれて、直接インターネットにつながり、モノとヒトとが相互に通信できるようになる仕組みのことを言います。
従来のインターネットの世界は、ヒトがパソコンやスマートフォンなどのIT機器を使って「つながる」のが普通でした。
しかしながら、IoTの時代になると、それが身の回りのあらゆるモノにまで広がっていきます。
例えば、アメリカテスラ・モーターズの電気自動車「モデルS」の場合、「ソフトウェアアップデート」とは、「自動車の機能追加」を意味します。
今年3月の「ソフトウェアアップデートがあります」(バージョン6.2)で追加されたのは、
■自動緊急ブレーキの機能や
■安全な車線変更をアシストする機能
なのです。
同社では、今後さらに自動運転機能をアップデートで追加し、「モデルS」を自動運転車へと「進化」させる予定でいます。
このように、IoTが「第4次産業革命」と言われるゆえんは、モノとモノ、ヒトとヒト、モノとヒトがインターネットで「つながる」ことで、暮らしやビジネスが根本から変わる可能性があるからです。
ちなみに、第1次産業革命は蒸気機関、第2次産業革命は電気、第3次産業革命はコンピューターの活用が引き金になっています。
小生は、この「第4次産業革命」の潮流を理解するためのキーワードは、以下の4つだと思っています。
■IoT(アイオーティ)
Internet of Things(モノのインターネットの略称で、身の回りにあるモノにセンサーが組み込まれて、直接インターネットにつながり、モノ同士、あるいはモノとヒトが相互に通信できるようになる仕組みのことを言います。
ネットワーク経由でモノの状態を遠隔で操作したり、モノから送られてくる膨大なデータ(ビッグデータ)を解析することで、新しい製品やサービスを創出することも期待されています。
■M2M/P2M/M2P
M2M(エムトゥエム)は、Machine to Machineの略称で、機器などのモノ同士が、ヒトの介在なしに直接通信を行って動作することを言います。
P2M(ピートゥエム)は、People to Machineの略称で、ヒトからモノへの通信を意味しています。
M2P(エムトゥピー)は、Machine to Peopleの略称で、モノからヒトへの通信を意味しています。
M2Mは、以前からFA(ファクトリー・オートメーション)の世界で普及していましたが、ヒトがモノを支配するP2Mと、モノがヒトに通知するM2Pが加わることで、IoTに発展したのです。
■インダストリー4.0
ドイツが産学官共同で進めている国家プロジェクトで、「第4次産業革命」を意味しています。
IoTを活用したモノづくりで、ドイツの主要産業である製造業の競争力の強化を狙ったものです。
中核となるのは、「スマート工場=考える工場」で、生産に関わるあらゆるデータをネットワークでつなぎ、生産ラインの状況をセンサーで監視して進捗状況の確認を行ったり、顧客の要望に合わせて製品をカスタマイズすることができるようになります。
■インダストリアル・インターネット
アメリカのGE社が打ち出した、IoTを活用した経営戦略のことを言います。
同社のさまざまな製品にセンサーを取り付け、ネットワーク経由でデータの収集・解析を行い、製品の保守や運用をしたり、新製品や新サービスの開発に生かそうという構想です。
ドイツが推進するインダストリー4.0とよく比較されますが、IoTを活用するという基本コンセプトは同じですが、モノづくりに中心を置いているインダストリー4.0に対し、インダストリアル・インターネットは製品やサービスに重点を置いているように思われます。