和歌山県北山村 – マネージメントオフィス桜田
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和歌山県北山村

和歌山県北山村は、周囲を奈良県と三重県とに囲まれ、全国で唯一飛び地の村で、人口は500人ほどです。ピーク時の人口は1970年の1,135人ですが、主産業だった林業の衰退に伴い、今日まで減り続けています。

☆「じゃばら」苦節の20年、救ったのはネット通販

 こうした窮地から村を救うと期待されたのが「じゃばら」でした。柑橘類の一種で、北山村では「邪を払う」とされ、正月料理などで使われてきました。1979年にパイロット事業としてスタートしましたが、知名度が低いために売れず、「鳴かず飛ばず」の状況が20年も続きました。転機が訪れたのは2000年で、市町村合併の機運が高まる中、北山村が目を付けたのがインターネット通販でした。楽天市場でネット通販を始めてみると、大量のじゃばらを定期的に購入する顧客がいることを発見します。聞き取り調査の結果は「花粉症に効くから」という思いがけない答えでした。翌年に無料試飲のモニター調査をしたところ、46%にあたる被験者が「効果があった」と回答しました。これがテレビなどに取り上げられたこともあって一気に「じゃばらブーム」が起こり、初めての完売を経験します。

☆ブームの終焉と甘かった原価計算

皮肉にも大ヒットの結果、高い原価率が大問題として浮上します。中には逆ザヤのものまでありました。「お役所仕事」の域を出ていなかったのです。もう1つの打撃が薬事法の改正で、「花粉症への効能」が表示できなくなりました。さらにはライバル店が増えたこともあり、再び窮地に立たされます。

☆ネット村民制度で巻き返す

打開策として2007年に立ち上げた地域密着型ブログポータルサイト「村ぶろ」がこの窮地を救うことになります。「村ブロ」は、無料の会員登録をすれば、ユーザー自身のブログを開設できることが最大の特徴です。会員登録者を仮想村民の「村人」と位置付け、村人は無料でショッピングモールに出店することもできます。

現在、この直営事業の収入は年間3億5,000万円を超えており、税収の5倍以上となっています。

小生が考えたこの自治体(サイト)の成功要因は以下の通りです。

地域資源の「じゃばら」に事業を集中した

■早い段階でネット販売を開始した(成功と失敗を体験した)

■ネット村民制度という新しいビジネスモデルを構築した

この事例(サイト)は、今や全国に注目される「地域おこし」の優等生になっています。