内発的動機(フロー) – マネージメントオフィス桜田
ECサイトについて

内発的動機(フロー)

フロー」とは、アメリカの心理学者チクセントミハイによって提唱された概念です。チクセントミハイは、「行動や活動それ自体を楽しむ」ことにエネルギーを費やしている人々を数多くインタビューして研究を重ね、それらの人々に共通している「ある特別な状態」を発見しました。

それは、『集中が焦点を結び、散漫さは消失し、時の経過と自我の感覚を失う。行動をコントロールできているという感覚を得、世界に全面的に一体化していると感じる」状態で、彼らがこの状態を「よどみなく自然に流れる水」に例えて描写することにちなんで「フロー(Flow)」と名付けました。

この状態は、行為に注意が強く集中しているので、その行為以外のことを考えたり、あれこれ悩んだり雑念を持ったりすることはなく、自分がうまくできるか、自分がどう見られているかなどの自意識を持つ余地もなく、時間は瞬く間に過ぎるように感じられます。

そして、このような体験を享受したいがために、困難や危険を伴うとしても、利害を計算することなく、自らその行動を求めていきます。例えば、「なぜ,あなたはエベレストをめざすのか」と問われた有名な登山家ジョージ・マロリーの、「そこに山があるから」という言葉はあまりにも有名ですが、この言葉からは、彼にとって登山という行為そのものがまさに「フロー」だったのではないかと想像されます。

もし仕事でも「フロー」が味わえるならば、会社への足取りは軽く、能力は存分に発揮され、仕事を通じて自己成長を楽しみ、「活き活きと働ける」ことになります。

では、「フロー」の状態はどのようにしたら生み出すことができるのでしょうか。チクセントミハイは、「フロー活動」には、「はっきりとした目標」があること、行為に対してすぐに「フィードバック」が与えられること、保持する「スキル」と「チャレンジ」がちょうどよい「バランス」であることが重要であると指摘しています。つまり、自分が何をすべきかが分かっていて、その行為がうまくいっていることが何らかの形ですぐに実感でき、「目標は頑張れば成し遂げられる」という感触が大いに関与するということなのです。

 

☆フロー体験と内発的動機

動機」は、行動を起こし、「目標」へと向かわせる重要な要素です。「動機」には、「外発的動機」と「内発的動機」があることはよく知られています。

給料や昇進、周囲からの賞賛、上司からの承認などは本人の外側からの報酬なので、「外発的動機」と言われ、自分の中から湧き出る達成感、自己効力感、好奇心、成長感、使命感などは「内発的動機」といわれます。

チクセントミハイは著書の中で、「自己目的的な人はすでにやりがいを感じているので、物の所有、レジャー、癒し、権力や名声といったものをほとんど必要としない。こうした人々は、仕事や家庭生活において、人と交わり、食べ、そして特にすることもなく1人でいるときにすら「フロー」を体験している。そのため、彼らは外から与えられる報酬にほとんど依存しない」と言っています。(M.チクセントミハイ『フロー体験入門』世界思想社)

2015/09/15